

お正月の賑わいがひと段落し、日常が静かに戻り始める1月9日〜11日頃にかけて行われる、十日戎と言われる恵比寿様をお祀りするお祭りです。主に関西を中心に古くから親しまれており、商売繁盛・金運向上・良縁成就を願う行事として知られています。
恵比寿様は、七福神の中で唯一の日本生まれの神様。
海の恵み、食、仕事、人の行き交い、そして働くことで生まれる豊かさを司る存在です。
そのため十日戎は、ただお金が増えることを願うのではなく、人とのご縁や行動を通して運が巡ることを祈る祭りという意味合いを持っています。
十日戎は一般的に1月9日宵戎、1月10日本戎、1月11日残り福の三日間で行われます。特に残り福は、最後に訪れることで思いがけない福が授かるとされ、縁起の良い日として人気があります。
この期間中、神社では福笹や熊手、縁起物が授与されます。福笹は、笹の持つ生命力と成長の象徴に、金銀や鯛、小判などの飾りを付けることで、一年を通して福を呼び込み、育てていくという意味が込められています。
購入した後に、自分で飾りを足していく風習があるのも、運は育てるものという考え方の表れです。単なる商売繁盛のお祭りではありません。実はこの行事は、新年に描いた願いや目標を現実の運気として定着させるための、大切な節目なのです。
新年に立てた願いは、この時期まだ意識の中にある状態。十日戎は、その思いを外の世界へと動かし、現実の流れに乗せるための合図のようなものです。
神社へ足を運ぶ方も、そうでない方も、この時期に一度立ち止まり、私はこの一年、何に力を注ぐのか、どんな人とのご縁を大切にしたいのか、を静かに見つめ直すことで運は少しずつ形を持ち始めます。
特に午年は「動くことで運が開く年」。
ただし、勢い任せに進めば良いわけではありません。
この軸が定まっていないと、運のスピードに心が追いつかなくなってしまいます。
十日戎の時期におすすめなのは、お願い事を増やすことではなく、
この三つを意識することです。
恵比寿様は、人を喜ばせ、場を和ませ、循環を生み出す人に微笑む神様。だから十日戎は、何かを求める日であると同時に、自分の在り方を整える日でもあります。笑顔で働くこと、人との縁を丁寧に扱うこと、小さな行動を積み重ねること。
それらすべてが、この一年の運を静かに支えていくのです。
新年の運は、三が日で決まるものではありません。
一月の間に、何度も調整され、少しずつ現実へと根を下ろしていきます。
十日戎は、その流れの中でも特に重要な通過点。
今年の運を願っただけで終わらせないために。あなたの思いが、人と縁と行動を通して形となり、現実の幸運として巡ってくる一年になりますように。